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2008-03

よみがえる空

春はまだ浅く、信州の尾根にはまだ深く雪が残り、尾根の底を這うような道にもところどころ雪が残っていた。まだ夜明けには間がある凍えるような漆黒の闇のなかをバスは走っていた。
乗っているのは殆どが若い男だ。似たようなリュックを抱えている。スーツの男もいた。
みんな今日のTのライブイベントに向かう途中なのだ。
さっきまではまだ声も聞こえたのだが、さすがにもう寝静まっていた。
突然、バスが揺れた。地震だ、大したことはない。一度揺れたきりだ。
だが遠くで唸るような低い音が聞こえはじめた。
だんだん音は大きくなってくる。バスのライトが拳ほどの雪の塊を降り注ぐのを写し出した、そのとたん、バスは大雪崩の渦に巻き込まれたのだった。
080227_sl02.jpg

バスは幸い木々に押し止められて道の際に止まっていた。
バスは天井がようやく見えるほどに雪で埋まっている。
乗客は窓を開け、雪を分けて空気を取り込んでいる。ドアは圧雪した雪で開かないようだ。
幸い大したけが人は出なかったらしい。しかしこの寒さだ。窓から雪が入り込んで雪で濡れている人もいる。
ひとりの青年がリュックを背負い、バスの窓から這うように出て行く。青年はバスの屋根の上がるとリュックからなにかを取り出している。15インチはあろうかという棒だ。
その棒をボキッと折ると眩しいほどの光が溢れだした。光は10分ほど輝き続け、青年は次々と光を夜空に向かって振り続けた。
やがて、遠くからバタバタ…というヘリコプターの音が聞こえてくる。バスの屋根にはもう何人も上がっている。そのなかのひとりが叫ぶ。「航空自衛隊小松救難隊だ」。
ようやく空が白みはじめていた。

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